江戸時代の戯作者曲亭馬琴が著し、房総の地を舞台にした全9輯98巻・106冊からなる長編伝記小説です。「仁義礼智忠信孝悌」の珠をそれぞれ持つ八犬士が、戦国大名・里見氏のもとに集い、活躍を繰り広げます。
著者の曲亭馬琴は武家に生まれながら戯作者を志し、山東京伝の知遇を得ました。日本最初の職業作家と言われています。28年もの歳月を費やして完成させたのがこの南総里見八犬伝です。
著者 爲永春水(2代目)/作 鳳簫菴琴童、假名垣魯文/抄録 一勇齋國芳(歌川国芳)、一恵齋芳幾(落合芳幾)/画
刊行年 弘化5年(1848)~慶応2年(1866)
「南総里見八犬伝」の絵入、平仮名化された草双紙。為永春水、鳳簫菴琴童、假名垣魯文と書き継がれ、絵も歌川国芳から落合芳幾に、版元も渓文堂から菊寿堂に引き継がれ慶応2年に30編を刊行して完結した。
著者 笠亭仙果/作、歌川豊国(3代目)等/画
刊行年 嘉永元年(1848)~明治14年(1881)
「南総里見八犬伝」を抄録して挿絵を入れた草双紙。同時期に刊行された「仮名読八犬伝」の武者絵調と、豊国の役者絵調の絵との間で競いあったといわれている。全60編ともいわれているが57編以後は刊行されたかはっきりしていない。
曲亭 馬琴/識
もともと鈍亭魯文による八犬伝の抄録本『英名八犬士』として出版されていたもの。序や口絵を書き換え、外題・内題を「里見八犬伝」とし、馬琴の名を入れるなどして改ざんされている。尾題には「英名八犬士」の題が残っている。